喫茶ポストアポカリプス

よくわからん根っこを煮だした茶とよくわからんペースト状の食い物をアルミの食器で供する。

Кафе постапокалиптический

感想|「ジュピター」

スティンガーさん
ロシアで出会った父母の間に生まれたジュピターは生まれる前に押し込み強盗によって父親を失う(実に唐突に)
悲しみに打ちひしがれる母は親類だけしか信用できなくなり大西洋の真ん中で出産、そのままアメリカに渡り不法移民に。
そして、十数年後、一家で金持ちの家を回る清掃業者として働くジュピターは宇宙を支配するアブラサクス家の波乱に巻き込まれていく。

DNAというものによって永年の時を支配され続けてきた支配者達がたった一人の母の生まれ変わりの存在によって取り乱し広がっていくドタバタは皮肉がきいていると思ったけど
なんともトンでる話がどんどん展開されていくのについて行けなかった。
先代の女王の娘、アンチエイジング風呂に入るカリークはアブラサクス家にとって最も価値のあるものは時間だ、とジュピターに語ったけれど、その割に実に俗っぽい贅沢三昧で説得力がない。
ショーン・ビーン演じるスティンガー、ペ・ドゥナのハンターなんかももっと活かしようがあったろうと歯がゆいったらない。

美術、小道具、セットなんかの絵面は好みのテイストなんだけどなぁ。人体が原料の不老不死の素が正八角形の瓶に入ってズラッと並んでるとことか、まさに女王蜂のモチーフなんだろう。
ジュピターが女王になる(?)手続きで役所めぐりするところはモーレツ宇宙海賊(パイレーツ)の第6話で宇宙海賊の娘が私掠船免状の取得のために役所めぐりするところとそっくりなのに加えてハリー・ポッターのダイアゴン横丁のような感じ、というかスチームパンクっぽさも混ざっていて楽しい。ウォシャウスキー姉弟とそのスタッフ、オタクスピリットは健在なのかしら。

万人におすすめできる面白い作品ってわけではないんですが勝手に続きやらなんやら創作して楽しむのが吉、な映画です。同じくロシアではウケた47RONINと同様に。